今夜の舞踏会に備えて作戦会議
今夜、いよいよ宮殿で舞踏会が開かれます。国賓として招待されたゼーリエを護衛することがゼンゼやフリーレンたちの任務です。その目的は、影なる戦士によるゼーリエ暗殺計画を阻止すること。ゼーリエには正式な招待状があるため、堂々と正面から宮殿に入ることが可能です。また、従者の人数に制限はなく、全員で向かう予定です。しかし、ラントとユーベルは魔導特務隊から脱走した立場であるため、別ルートから潜入するとラントが言います。
ラントとユーベルをなぜ組ませたのか
任務の準備を進める中、ラントはゼーリエに問いかけます。「なぜ今回の任務でユーベルと組ませたのか?」と。彼は明らかにユーベルとの相性の悪さに不満を抱いています。それに対し、ゼーリエは冷静に返答します。「お前の慎重さという武器を生かしたいなら、ユーベルの手綱を握れるようになっておけ」と。ラントとユーベルは同時に「手綱?」と疑問を口にしますが、ラントが「どこにあるの?」と聞くと、ユーベルは「捨てちゃったかも」と冗談交じりに返します。
ラントと彼の祖母が魔導特務隊のフラーゼと何かしらの因縁が
一方で、ゼーリエもラントに問いを投げかけます。「他の奴が迎えに行っていたら、この任務を受けたか?」と。しかし、ラントは何も答えません。続けてゼーリエは「帝都の町並みが懐かしいだろう?」と言い、ラントの両親や祖母について触れかけます。すると、ラントは話を遮り、「その話は聞きたくない」と一蹴します。このやり取りから、ラントと彼の祖母が魔導特務隊のフラーゼと何らかの因縁を持っていることが暗示されます。第128話で描かれたこの伏線が、今回のエピソードとも関係していそうです。
ゼーリエは二人の相性について楽観的な見方をしているようです。彼女の指摘を受けたラントがユーベルの制御に挑むことで、任務がどのように展開していくのか注目が集まります。
正装に着替える面々
全員が舞踏会に向かうため、それぞれ正装に着替えます。シュタルクとザインも準備を進めますが、ザインは正装に不慣れな様子で不満げな表情を浮かべています。一方、シュタルクは「動きやすい」と意外と気に入っている様子です。対照的な二人の反応が、軽い緊張感の中にも和やかな雰囲気を漂わせます。
その後、ザインが少し深刻そうな表情を浮かべ、「さっきは話すタイミングがなかったが、気になっていることがある」と切り出します。それを聞いたシュタルクは「俺でよければ聞くよ」と真剣に応じます。しかし、ザインの口から出たのは意外な一言。「舞踏会って、綺麗なお姉さんいるかな?」と。シュタルクは呆れたような表情を見せつつも、ザインらしい軽い発言に少し笑いがこぼれます。
ザインの飾らない性格が際立つこのやり取りは、緊張感を抱えた舞踏会の準備の中で、束の間の和らぎをもたらします。
女性陣も正装への準備を進めています。フェルンはゼンゼにコルセットを締めてもらっており、「ぎりぎりまで締めて」と要求しますが、ゼンゼは「戦えなくなるから駄目だ」とやんわり断ります。それでもフェルンは納得せず、必死の形相でさらに締めてもらおうとします。その様子は周囲にも緊張感を漂わせています。
そんな中、フリーレンがフェルンのもとにやってきて、「髪を結んで」と頼みます。しかしフェルンは真剣な表情で、「今それどころじゃないって分かりませんか?」と突き放すように答えます。思わずフリーレンは「目が怖いって…」とつぶやきますが、フェルンが納得するまで待つことにしました。
フリーレンとゼーリエの会話
そこへゼーリエが現れ、フリーレンに対して「弟子がいなければ髪も結えないのか」と皮肉めいた一言を放ちます。その言葉にフリーレンは少し肩をすくめつつも、フェルンの集中ぶりにただ見守るしかありません。女性陣の正装準備も一筋縄ではいかない様子で、独特の緊張感とユーモアが入り混じっています。
フリーレンとゼーリエの間で、静かな火花が散ります。ゼーリエに「髪を結んでやってもいい」と言われたフリーレンは、即座に「死ね」ときつい言葉を返します。するとゼーリエは、「私が任務に巻き込んだわけではない。それはゼンゼの配慮だ。不満があるなら任務を降りても構わないし、フェルンにも無理強いはしない」と冷静に告げます。さらに、「フェルンは一級魔法使いである前にお前の弟子だからな」とも付け加えます。
それでもゼーリエは自信たっぷりに語ります。「この暗殺計画自体が茶番だ。帝国が全軍事力を集結させても、私が死ぬ未来が見えるか?」と。これに対してフリーレンは反発します。「なんで私たちを任務から遠ざけようとするの?どんな未来が見えているの?私の役割は何?」と問い詰めます。しかし、ゼーリエは具体的な答えを出さず、「任務を降りても支障はない」と再び繰り返します。それを聞いたフリーレンは、「お前を敬う大事な弟子が、本当に私を巻き込まないと思っていたの?」と返し、ゼーリエを黙らせます。
その後、ゼーリエは改めて「来い、髪を結んでやる」と命じますが、フリーレンは「フェルンにやってもらうからいい」と断ります。ゼーリエが「そうじゃない、私はただ…」と何かを言いかけたところで、フェルンが正装を整え戻ってきます。そして、結局フリーレンの髪はフェルンが結うことになります。
一方で、フェルンのコルセット問題はゼンゼが程よく調整したようで、戦闘にも支障が出ない仕上がりとなりました。ゼーリエとフリーレンのやり取りが緊張感を漂わせつつも、最終的にはチームの準備が整い、舞踏会へと向かう流れが見えてきます。
ゼンゼとゼーリエの会話
ゼーリエは今度はゼンゼに目を向け、「おいで、髪を結んでやる」と言います。ゼンゼは「髪くらい自分の魔法でできます」と抵抗しますが、ゼーリエに促され、椅子に座ることに。ゼーリエがゼンゼの髪を整えながら、二人の会話が始まります。
ゼンゼは今回の任務の選定基準について質問します。「他にもっと適任がいたのでは?」とレルネンの名を挙げますが、ゼーリエは「レルネンが舞踏会に来られるわけがない」と即答します。実はレルネンは50年以上前に宮殿から出禁を食らっており、それを聞いたゼンゼは「何やったんだ、あの人…」と呟きます。ただ、レルネンも何もしていないわけではなく、ヴァイゼに移送されたグリュックやデンケンを出迎えている様子が描かれており、今後彼らの動きにも注目が集まります。
任務のメンバー選定基準
話を選定基準に戻し、ゼーリエはゼンゼに「特権に何を願ったか覚えているか?」と問いかけます。ゼンゼは「片時も忘れたことはありません」と答えますが、それを受けてゼーリエは、「私はあの時失望した。この子には類い稀なる才があれど、決して強い魔法使いにはなれないと」と当時の思いを口にします。そして続けて、「今回の任務に参加しているのは、私の望みとは程遠い特権を願った連中だ」と語ります。
ゼーリエは具体的にその願いを挙げます。ラントは家族の遺体を探す魔法を願い、家族を弔うためにその力を使いました。ユーベルは行方不明の姉を見つける魔法を望み、一方でフェルンはお洗濯の魔法を願っています。それぞれの願いが特権によって与えられた力と共に描かれ、彼らの背景にある物語を垣間見ることができます。
ゼーリエが語る選定基準には、彼女なりの深い意図が隠されているようであり、今回の任務に参加する魔法使いたちの個性と目的が明確になります。
ゼーリエは静かに語り始めます。「不思議なものだな。才ある者は両極端だ。力を願った者と願わなかった者がいる。前者は私の理想通りの魔法使いになり、後者は私の想像を超える魔法使いになる」。今回の任務でゼーリエが選んだのは、後者――力を願わなかった者たちでした。
それぞれの願いが明かされます。ファルシュは「声が自在に変えられる魔法」を選び、その理由を「ゼーリエの声が出せるようになりたいから」と述べます。それを聞いたゼーリエは「えぇ…怖い」と本音を漏らします。一方でゼンゼは「ぐっすり眠れる魔法」を選びました。その理由を問われ、「人を殺した後でもぐっすり眠れる魔法が欲しいからです」と平然と答え、ゼーリエを一瞬驚かせます。
ゼーリエはしばらく考え込んだ後、こう続けます。「もしかしたら私は、想像を超える結果が見たいのかもしれない。私では辿り着けない未来でも、お前たちなら辿り着けるかもしれない」と。その言葉にゼンゼが「説明してください」と詰め寄りますが、ゼーリエは「嫌だ」と軽くかわします。「説明すればお前は私の選択に反対するだろうからな」と誤魔化し、さらに「きっとこの場にいる魔法使いは全員そうだ。だからこそ連れて来た」と締めくくります。
その言葉を受け、緊張感を漂わせながらも全員が宮殿への道を進み始めます。それぞれの思いとゼーリエの意図が交錯する中、物語は新たな局面を迎えようとしています。