画像元:https://twitter.com/Anya__Russian
先々週木曜日からロシアが、
ウクライナに軍事侵略を働きました。
※侵攻は中立的表現で、
侵略は批判する表現を伴っています。
日々ウクライナの民が、
そしてロシア国内でも大変な状態を見て、
「今の時代における戦争は、
昭和のころの戦争と違うんだな」
思い知らされるのです。
ロシアで有名なバレエ団体、
ボリショイバレエで団員が次々脱退しているとのこと。
僕は気になってしまいました。
「時代の変わり目は些細なところにある」からです。
ボリショイバレエ団の成り立ち
ボリジョイバレエ団体の成り立ちを調べました。
ボリショイ・バレエ団はロシアのモスクワにあるボリショイ劇場を
拠点とした国際バレエ団体を示します。
※上記トップ画像がボリジョイ劇場。
※ボリジョイはロシア語で「大きい」を示し、
小さい劇場は「マールイ劇場」という。
始まりは1776年(日本では江戸中期、平賀源内がエレキテル復元。
アメリカでは独立戦争が起きた年)
ピョートル・ウルソフ侯爵の家で、オペラやバレエ、
演劇など舞台を始めました。
1780年にペトロフカ劇場ができ、活発に公演が行われた。
この劇場は何度か倒壊被害にあっており、
一つがナポレオンによるモスクワ侵攻が原因でした。
もう一つが1941年のドイツとソ連の戦争で、
ドイツの爆撃機によって劇場が壊されたのです。
ロシア革命後、ソ連政府によって重大な国立劇場へと位置付けられ、
ダンサーや振付師、スタッフが次々と地方からモスクワに集まった。
国をあげて文化の一大事業に乗り出したものの、
ソ連を崩壊するまでは言論統制が敷かれ、
当時て帰国だった西ドイツなどのバレエ公演はできなかった。
バレエ団体の前に劇場の創設があり、
バレエ団体の演劇項目にも当時の歴史が詰まっている。
という視点で見ると、面白いですね。
ソ連スターリン批判に命を懸けたクラシック音楽
脱線を一つお許しください。
ソ連スターリンで思い出した話があります。
ショスタコーヴィチというソ連時代の作曲家がおりました。
産経エクスプレスによりますと、
交響曲第1番がレニングラード・フィルによって初演となった際、
すぐさま欧米に評判が広がった。
いい評判を受けた一方、
当時の共産党機関紙で一部の音楽作品がけなされた。
オペラ「マクベス夫人」を演じている途中、スターリンが途中退席した。
楽曲提供していた人物がショスタコーヴィチです。
当時スターリンの途中退席そして不満は「死」を意味した。
ただでさえスターリンは敵味方、知識人や一般市民関係なく、
次々と始末(粛清)していました。
粛清の対象には、スターリンを持ち上げていた人もいるし、
数日前まで仲間かつ裏切る確率の少ない人もいたのです。
一般市民の中に文化人も含まれます。
ショスタコーヴィチはすぐさまスターリン賞賛の楽曲を描き、
何とか一命をとりとめたのです。
一見大きな権力に従いながらも、
権力や権威に屈服しないような音楽を描き続けていた。
あるクラシック歴史本にショスタコーヴィチがいて、
つい思い出したエピソードだったので、書きました。
ボリジョイバレエ団退団がもたらすもの
画像元:https://news.yahoo.co.jp/
話をボリジョイバレエ団に戻します。
時事通信によりますと、
ロシアによるウクライナ侵略に抗議する形で、
人気ダンサーが相次いで退団を発表したとのこと。
ダンサーだけではありません。
音楽担当や舞台担当などスタッフもやめたのです。
最高位ダンサー「プリンシパル」を務める、
ジャコポ・ティッシ(イタリア人、上記画像)も退団を発表。
バレエ以外にもロシアのサッカーリーグで監督が辞任を発表と、
次々と抗議という形の辞任をとっています。
制裁によるルーブル大暴落から、ロシアで稼いでも面白くない。
という考えも含んでいると、僕は思います。
画像元:https://news.yahoo.co.jp/
一方でプーチンをかばいながらも
「もう無駄な戦争はやめろ!」と述べる、
ロシアの金メダリストプルシェンコ(上記画像)さん。
東スポによりますとプルシェンコさんの奥さまが、
「人種差別をやめてくれ、ロシア人に対する差別をやめて!
そしてジェノサイドを今すぐ止めろ!」
投稿し、物議をかもしているとのこと。
現在ロシアは完全に情報統制をしいており、
ハッカー集団のアノニマスがロシアに対して宣戦布告を行い、
向こうのメディアを乗っ取り、ウクライナ情勢を流している。
しかもロシア国内では反戦を唱えた人たちに懲役15年、
あるいは戦地へ送って兵隊として活躍(処刑の一つ)してもらう、
という報道も出ています。
※小学生が反戦活動をしたら逮捕され、
護送車に乗せられていた画像を見たとき、ショックを抱きました。
時代の変わり目は芸術にある
1月にボリショイバレエのプリンシパルに昇進したばかりのジャコポが、ウクライナ侵攻に心を痛め、辞めてイタリアに帰ってしまった…。今はミラノ近郊の実家で過ごしているそう。とても辛い選択とインスタに綴っていたけれど、今後の彼の幸せと活躍を願ってやみません(スカラ座に行ってほしいな…) https://t.co/T0Vsz3UYaS
— 滝澤志野 (@shinotakizawa) March 8, 2022
僕が一番気になった部分は、
ロシアの権威ある団体でも動きが起きているところです。
現プーチン政権に対して、牢屋に入れられる覚悟、
下手したら殺される覚悟があっても、堂々と批判を行う姿勢に、
「ロシアはソ連と違うんだな」強く思いました。
どれだけ周りの国が重圧をかけようとも、
最後は自国民による圧力によって、国は変わります。
現在ロシアは内側と外側両方で圧をかけられている。
プーチン政権が強引に両方の圧力を吹っ飛ばせると思っていません。
現に反戦デモをしただけで重罪法案が可決されても、
ツイッターから流れてくる動画によると、
サンクトペテルブルグやモスクワなどで、
現地の市民がデモ活動を起こしているのです。
逆境ほど市民は強い。
トレンド(時代)の変わり目は政治というよりは一般、
特に芸術方面での動きによってよく表れるのです。
一見些細で小さく扱われる出来事ほど、
時代の変わり目を示す、超重大な事件と思っています。